週刊節税教室

ソフトウエアの製作と税金(1)

法人税
第90号 2003/6/30

☆質問

『ゲームソフトを製作している会社なのですが、税金の計算で気を付けなけ

ればならないことはありますか?』

★回答

ソフトウエアを製作している会社は、ソフトの開発の着手から商品の完成ま

でにかかった費用の扱いが重要な問題となります。

☆質問

『具体的に、どのようなことですか?』

★回答

ソフトウエアの製作にかかった費用は、その発生時に損金として落とすので

はなく、無形固定資産として資産計上する必要があります。

☆質問

『つまり、ソフトウエアを製作する人の人件費も、損金として処理するので

はなく、ソフトウエアという資産の取得原価になるということですか?』

★回答

そのとおりです。

☆質問

『そして、自動車と同じように一定期間にわたって減価償却を通じて損金に

なるのですね?』

★回答

そうです。

ゲームソフトのように、マスターソフトを作成し、それを複写してパッケー

ジに入れて販売する形態では、ソフトウエアの取得原価を3年で減価償却

を通じて損金として計上します。

☆質問

『つまり、ソフト製作者の給料は毎月損金として売上高から引かれるのではなく、ソフトが完

成するまで、ソフトウエアという資産に累積させて、完成後3年間で減価償却を通じて損金と

して売上高から引かれるのですね?』

★回答

そのとおりです。

ここで問題なのが、ソフト開発者の人件費をソフトウエアという資産に累積

させる税法の規定の中で「研究開発費の額」は資産として累積させず、人件

費が発生した時に損金として処理しても構わないと規定していることです。

☆質問

『つまり、ソフトウエアの開発段階の内、研究開発の段階までの費用はソフ

トウエアという資産に累積させずに、その発生時の損金としても良いという

いうことですね?』

★回答

そうです。

会社としては、研究開発に含まれる金額を大きくしたほうが多くの損金を早

めに計上できますので、節税効果が高くなります。

☆質問

『では、具体的にソフトの開発過程のどの段階までの費用を研究開発費とし

て処理し、どの段階からソフトウエアの取得原価として累積させるのでしょ

うか?』

★回答

この点はなかなかはっきりした規定がないため明確ではありませんが、次回

検討しましょう。・・・・つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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