週刊節税教室

お得な所得

所得税
第170号 2005/2/14

☆質問

『私は個人事業で使っていた自動車を友人に売却したのですが、こ

れは事業所得に含めて処理すればよいのですか?』

★回答

違います。

譲渡所得として申告する必要があります。

☆質問

『譲渡所得ということは土地や建物を売却した時と同じような計算に

なるのですか?』

★回答

違います。

譲渡所得には自動車などの売却による総合譲渡所得と土地建物や

株式の売却による分離譲渡所得と大きく2つに分かれるのです。

自動車の売却は総合譲渡所得となります。

☆質問

『譲渡所得の計算式はどのようになりますか?』

★回答

その前に、その自動車は購入してから何年経っていますか?

☆質問

『はい、6年経っています?』

★回答

そうすると、売却金額から取得費を引いた金額から50万円の特別控

除を引いて、さらにその2分の1が課税の対象になります。

☆質問

『いわゆる売却益から50万円を引いて、さらにその半分だけが課税

の対象になるなんて、ずいぶん税金が優遇されていますね?』

★回答

そうですね。

所有期間が5年超であると総合長期譲渡所得となります。

所有期間が5年以内の総合短期譲渡所得だと売却益から50万円を

引くだけで、さらにその2分の1だけが課税されるということはありま

せん。

☆質問

『なるほど。ずいぶん優遇されていますね。』

『他の所得でも同じように優遇されている所得はあるのですか?』

★回答

あります。

一時所得が同じように、

  (収入-取得費-50万円)×1/2 という計算式になります。

☆質問

『一時所得となるのは、どのようなものですか?』

★回答

生命保険の満期金が代表的です。

裁判で争われた外資系会社の親会社からのストックオプションによる

課税も、この有利な一時所得か給与所得かでもめていたわけです。

この裁判も最高裁の判決で「一時所得ではなく給与所得」ということに

なりましたので、原告の株主もがっかりということです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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