週刊税務調査日記

突然の調査(2)

第14号 2002/6/10

突然予告なしに税務調査官が会社に来たと連絡を受け、電話にて本日の調査の延期を申し入れました。

■会計事務所

「社長があいにく都合が悪く、本日の調査は延期していただきたいのですが」

●税務署

「いや、できましたら本日お願いしたいと思います」

■会計事務所

「それは無理ですよ。会社も仕事があるわけですか。日を改めてください」ときっぱりと言う。

●税務署

「では、統括と相談します」と言って 、電話を切りました。

統括とは統括官というポストで署内では課長と呼ばれています。

部門のリーダーで職員はみな統括官になることを目指します。

●税務署(統括官)

「法人6部門統括の税山と申します」と事務所に電話が入りました。

「先生、何とかお願いできないですかね」

■会計事務所

「ダメです。突然の調査では会社も私も対応ができません」

「調査は逃げも隠れもせず受けますので延期してください」

●税務署(統括官)

「先生、署員に聞いたところによると、社長は構わないと言っているみたいですよ」と言う。

先ほど私が社長と話したばかりなのに、嘘を言って何とか説き伏せようとする。

■会計事務所

「何を言っているのですか。社長は本日は都合が悪いと先ほど言ってました」

「納税者が延期を求めているのですから、ご配慮ください」と突っぱねる。

●税務署(統括官)

「分かりました、日を改めます」と、やっと引き下がりました。

なぜ突然調査官が来たのか?

前回の調査内容を納税者に聞いたところ、その訳が分かりました。

前回の調査も予告なしに大勢の調査官が会社やお店に入り 、相当な計上漏れを指摘され、今でも分割でその税金を払っているとのことでした。

おそらく、国税局の資料調査課の調査(週間税務調査日記17号参照)であったのでしょう。

資料調査課の調査があって、相当な計上漏れ等が発見されると、その数年後に何の予告なしに税務署の調査が入ることがあります。

「前にやっていたんだから、またやっているであろう」ということでしょうか。

これが、今回の突然の調査の原因であることは間違いありません。

              To be continued.  

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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