週刊税務調査日記

突然の調査(3)

第15号 2002/6/17

予告なしの税務調査は延期してもらいました。

今日が延期された税務調査の日です。

朝10時に調査対象会社に向かいます。

■会計事務所

「おはようございます」と挨拶して、まず調査官に名刺を渡します。

●税務署

「前回は突然お邪魔いたしまして 、大変失礼いたしました」と一応お詫びの言葉がありましたが、顔は笑っていません。

「おまえが邪魔をしたおかげで抜き打ち調査がパ~になってしまったではないか、コノヤロー」という感じがありありです。

やはり前回の調査資料を見て、今回の調査も相当疑ってきていることは間違いありません。

「税理士もグルになって税金をごまかしているのか」くらいの考えはあるでしょう。

しかし、現在の経理担当者は実にしっかりとしているし 、こちらも決算に関しては自信がありましたから、「調査してみれば分かるだろうな」と思っていました。

そして調査が始まりました。

「売上と仕入関係の資料を見せてください」

▲納税者

「はい」と言ってテキパキと資料を渡し、調査官の質問にも答える。

しだいに調査官の表情が緩んでくるのが分かります。

税理士の世間話にも乗ってくるようになりました。

「この会社はちゃんとやっている」との感触を時間とともに掴んだようです。

■会計事務所

「お茶でも入れてください」と納税者に声をかける。

お茶をすすりながら、世間話を調査官に振ります。

もうほとんど会社の状態を把握したみたいです。

その後は穏やかな調査で、2日目も無事に終わりました。

調査終了後、数日経ってから税務署より連絡がありました。

●税務署

「急で申し訳ないのですが、できましたら本日、会社の方と先生とお会いしたいのですが、いかがでしょうか?」

■会計事務所

「了解いたしました。本日2時に会社でお待ちしております」と電話を切る。

調査も突然なら、決着をつける日取りも突然です。

おそらく、今回の調査の結論を説明して、納税者の同意を取って修正申告を依頼するのでしょう。

急いでいるのは、税務署の締めの関係でしょう。

私もよく知らないのですが 、税務署にも成績を締める、「締め日」があるようです。

ですから、その締め日に間に合わせるために急いでいることがよくあります。

「ほとんど何もないはずだが・・・」と思いつつ会社に向かいます。

              To be continued.  

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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