週刊税務調査日記

思いも寄らない調査(14)

第81号 2003/10/6

追加納税額の分割払いの相談に所轄の税務署に行ったところ、納税額が多額なためにその管理が東京国税局に移管されたということでした。

日をあらためて東京国税局に行くことになりました。

国税局のロビーで納税者と待ち合わせます。

▲納税者

「やー先生」

■会計事務所

「おはようございます」

さっそく納税者と国税局の徴収部特別整理部門に向かいます。

聞いたことのないような部署です。

おそらく高額な税金の滞納案件を整理して徴収する部署なのでしょう。

この納税者はいろいろな所に連れて行ってくれるものです。

法人名と所在地を告げて、雑然とした部屋の中のテーブルに通されました。

書類を抱えて担当者が来ました。

名刺をわたして着席します。

●税務署

「え~、○○会社さん、かなりの額ですね」

「今回のご相談はどのようなことですか?」

■会計事務所

「納税の仕方を分割払いにさせていただきたいのですが」

●税務署

「御承知かと思いますが、分割払いという制度は税務署にはありません」

「一括納税が原則です」

■会計事務所

「しかし、額が額なもので分割でお願いしたいのですが・・・」

●税務署

「本当に払えないのですか?」

■会計事務所

「払えません」

●税務署

「先生が払えませんといってどうするのですか」

「社長、本当に払えないのですか?」

▲納税者

「とてもこんな金額を一度に用意できません」

「会社がなくなってしまいます」

●税務署

「仕方ないな」

この状況ではこちらは頭を下げっぱなしです。

仕方ありません。

納税者と一緒に頭を下げます。

「で、担保に入れられる不動産はありますか?」

担保を取るんだ・・・・

              To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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