所長のミニコラム ~ Monthly column ~

12月のミニコラム

年末調整が近づきました

今年も年末調整のシーズンインです。年末調整とは、「毎月の給料から天引きしている暫定的な所得税額を、年収をもとに計算した確定所得税額に合わせるためにする、税金の精算手続きです。

通常この税金の精算手続きで、税金が戻ってくるケースが多いのですが、これは毎月の給料から天引きされる所得税額では考慮されていない、生命保険料控除や損害保険料控除などが年末調整では考慮されるためです。

その他、今年子供が生れたとか、結婚して妻を扶養親族にしたといった場合には還付金額が多くなることがあります。毎月天引きされていた所得税額は子供が生れたり、結婚する前は、それらの扶養者がいないわけですから多く天引きされていました。扶養者が増えてからは天引き所得税額は少なくなります。しかし、年末調整では子供や配偶者が年の途中で増えても1月から扶養者がいたとする計算をしますので、天引きされすぎた所得税額が還付されるのです。

還付される理由がお分かりになりましたでしょうか?チョッと難しかったでしょうか・・

2002.12.01 公認会計士・税理士 井上 修
11月のミニコラム

銀行借入金が返済できなくなったら...

「銀行から借入れたお金が返済できなくなったら、どうしますか?」

  • 「身内からお金を都合してもらう」
  • 「友人から借りる」
  • 「高利の商工ローンから借りる」

そんなことを考えないで、お金を借りている金融機関へ行って現状を説明し、毎月の借入れ返済額の減額を頼んでみましょう。毎月30万円返済していたものが、毎月5万円位に減額して負担を軽くしてくれます 。

開き直りも大切です 。

2002.11.01 公認会計士・税理士 井上 修
10月のミニコラム

消費税の「益税」

消費税の基本的な考え方は、売上代金と一緒に「預った消費税」から仕入代金や交通費などと一緒に「支払った消費税」を差し引いた金額を税務署に納税します。全ての納税者が、この方法で納税していれば消費税が納税者の利益になる「益税」などということは生じないのですが、2つの例外規定があるために消費税の「益税」が生じます。

ひとつは売上高が3千万円未満の事業者には消費税が免税になるという例外規定です。消費税が免税になるということは、本来税務署に納税するはずの消費税が自分の懐に入ることを意味します。まさに益税です。

2番目は簡易課税です。消費税の計算を売上高に業種ごとの率を掛けて簡易に算出する計算方法で、2年前の売上高が2億円未満の事業者に適用されます。売上高に率を掛けて計算された消費税額が、本来の計算方法である「預った消費税」から「支払った消費税」を引いた額に満たなければ、その分事業者は消費税が得となり、自分の懐に入ってしまうわけです。

このような「益税」が今問題視され、15年の税制改正論議でも俎上にあがっています。

しかし、この2つの特例が縮小もしくは廃止されると会計事務所は忙しくなるかもしれません。消費税は難解で会計事務所に頼らざるを得ないことが多いからです。

会計事務所に特需が来るかも知れません・・・?

2002.10.01 公認会計士・税理士 井上 修
9月のミニコラム

株式投資

最近、株式投資を約12年振りに細々と始めました。12年前、7年ほど勤めた監査法人を退職し独立の準備をするにあたって、きっぱりと全株を成り行き売りで売却して株式投資を止めました。それまでは、家を担保にして銀行借入した資金もつぎ込んで派手な株式投資をしていましたが、思い立ったその日に全株売却しました。その結果、大きな傷を負うこともなくうまく売り抜けたわけです。

私が公認会計士試験の第2時試験に合格して、外資系の会計事務所に入ったのが約21年前です。その時の平均株価が8千円台でした。現在が9千円台ですから21年経っても平均株価が千円~2千円しか上昇していません。現在のデフレがこのまま続くとは考えられません。株と土地が上がれば日本経済は再生されるのです。暴落から12年、「そろそろ底を打ってもいい時期かな・・・」と思っています。1万円割れは「買い」だと思うのですが・・・。もちろん私は長期投資です。バブル期にある証券会社の専務さんが私に言いました「短期で売り買いをやっている投資家で、儲けているのは100人に3人程度ですよ。株は儲かるものではありません」と。

2002.09.01 公認会計士・税理士 井上 修
8月のミニコラム

遺族年金

ご主人様がお亡くなりになり、遺族年金の請求に役所を訪れたところ、「あなたは前年の所得が多いので遺族年金の受給はできません」と言われたと連絡がありました。確かに 、その方は地代収入があり、前年の所得が850万円くらいあります。遺族年金受給の要件として所得が655万5千円未満である必要がありますが、この所得要件を前年度の所得が超えていたために受給資格がないと言われたのでした。

地代収入があるといっても、ほぼ全額が土地購入の借入金の返済に回ってしまうため、遺族年金の受給は生活資金として欠かせません。このままでは、ご主人様が高い年金保険料を長年負担していても払い損に終わってしまいます。たまたまこのケースでは、地代の引き下げが偶然あり、何とか所得要件をクリアーできそうです。多額の所得があっても、バブルの後遺症で借金の返済に追われ、日々の生活にも困っている人に対して、遺族年金の所得要件は厳しいものといえます。

2002.08.01 公認会計士・税理士 井上 修
7月のミニコラム

公認会計士の責任

新聞に 「倒産した運送会社フットワークを監査した公認会計士2人逮捕 」と1ヶ月ほど前にでていましたが 、1人の公認会計士としてショックを受けました。 「監査をしていて逮捕される 」なんて考えてみたこともありませんでした。また、6月28日の新聞には「住専を監査した監査法人が、住専が倒産して株式が紙切れになったことの損害賠償訴訟で、和解に応じて、経営者とともに賠償金の支払をする」との記事が載っていました。

私も約10年間、監査法人に勤務して上場会社の監査をしてきましたが 、その当時と比べて、公認会計士の責任の重さは何倍にもなってきました。今、「決算書の読み方」の本がよく売れているみたいですが 、決算書への関心がこの不景気で余計高くなってきたのでしょう。決算書の信憑性を担保するのが公認会計士の役割ですので 、決算書への関心が高まるにつれて公認会計士の責任も当然重くなるわけです。

2002.07.01 公認会計士・税理士 井上 修
6月のミニコラム

マーケティング

最近、今までは手にしたことがほとんどなかったマーケティングの本を何冊か読んでいます。読んでみると営業を科学的に分析した分かりやすい解説に驚きを覚えたものがいくつかありました。

「エモーショナル・マーケティング」とか「エクスペリエンス ・マーケティング」といった題目の実践的なマーケティング手法です。ただ単にDMを送ったり、チラシを作ったり、ホームページを作成しても、期待したほどの効果はまずないこと。実際に私は、これらのマーケティングの本を読む前に4千通のDMを出した経験があります。何も考えずに「これだけ出せば少しは反応があるであろう」といった安直な考えで。結果は確かに少しだけの反応に過ぎませんでした。

営業は当然のことながら商売の源です。もっと勉強して実践していこうと思っています。皆さんも一度は読んでみたらいかがでしょうか。

2002.06.01 公認会計士・税理士 井上 修
5月のミニコラム

週間税務調査日記

メールマガジンで「週間税務調査日記」を始めたところ第8号で読者が2,000人を超えました。税務調査に対する皆様の関心の強さをあらためて感じました。

通常の税務調査は任意調査と言われ、既に税務署に申告した申告書類の妥当性を検証するための調査で、「マルサの女」みたいな強制調査とはまるっきり次元が異なります。強制調査は、基本的に税法違反による刑事罰を受けるほどの大規模で悪質な納税者を、法の強制力で有無を言わせず調査して税法違反を立証するための調査となります。

幸いまだ当事務所では、強制調査を受けたお客様はいませんし、これからもないことを願います。強制調査(査察)があると、納税者だけでなく関与税理士も調査されます。実際調査された税理士に聞いた話ですと、はじめはグルであるという前提で、まるっきり共犯者を調べるのと一緒だったそうです。

私はそんな目に会いたくありません。皆さんちゃんと申告しましょうね。

2002.05.01 公認会計士・税理士 井上 修
4月のミニコラム

エンロン事件の影響

アメリカの大手企業であるエンロン社が倒産して、そこを監査していたアーサー・アンダーセンというアメリカに本部を置く会計事務所が苦境に陥っています。

私も同じくアメリカに本部を置くアーサーヤング会計事務所に籍を置いておりましたことから「あのアンダーセンが・・・」とちょっと信じられない気持ちです。数年前にアンダーセンコンサルティングがアクセンチュアにその名称を変えたのもこのような危機に対するリスクマネージメントであったのでしょうか。

いずれにしても信用を第一とする会計事務所が信用を無くすということの恐ろしさを見せつけられた格好です。

我々もこのことを肝に銘じ、お客様からの信用獲得を第一として日々サービスを提供していくつもりです。

2002.04.01 公認会計士・税理士 井上 修
3月のミニコラム

税理士の広告規制の緩和

4月1日から税理士の広告規制の緩和があります。誇大広告や他の事務所を中傷するような広告の仕方でなければ自由に広告することができます。

今でも会社を設立すると、新設会社の情報をもとに会計事務所から多数のダイレクトメールが届いています。4月以降はもっとDMの数が多くなるのでしょうか。

このような状況になると会計事務所を選ぶお客様は何を基準に選ぶのかということが重要になってきます。顧問料、先生の人柄、事務所の場所、事務所の規模、サービス内容、などなど選択の基準はたくさんあります。

各会計事務所は差別化を図るために今まで以上の努力をして顧客獲得に向かうことになると思います。業界全体としても大変良いことだと思います。中小企業のお客様が必死になって経営努力をしているのに、先生は平日からゴルフ三昧で昔からのつながりだけで殿様商売をしていてはとてもお客様の役に立つ会計事務所とは言えないのではないでしょうか。規制緩和は会計事務所の競争を促し、サービスの向上がなされ、結果としてお客様にとって利益として還元されることになるでしょう。

2002.03.01 公認会計士・税理士 井上 修
2月のミニコラム

確定申告時期がきました

確定申告書を税務署に提出したことで「もう税務署のチェックは通った」と思い込んでおられる方がかなりいらっしゃいます。これは間違いで、3月15日の申告期限が終わってから税務署では申告書を整理して、その後申告書の机上チェックがあります。このチェック段階で単純な計算間違いや不明点があると税務署から納税者に郵便または電話にて問い合わせがあり、税務署に呼ばれることもあります。

申告内容に疑義がある場合、他の資料と突き合わせた結果、申告内容を実地に確認する必要がある納税者については税務職員が納税者を訪問する税務調査があります。

よく、3月15日ぎりぎりに税務署へ申告書を提出すれば、「ドサクサに紛れて申告書が通っちゃう」などということを聞きますが、そんなことはありません。いつ提出しても一緒です。

なるべくなら早い時期に税務署に行った方が得です。 タッチパネル式の自動申告書印刷機が、早めですと。親切な(?)指導付きで利用できます。清書する手間もなく便利です。

2002.02.01 公認会計士・税理士 井上 修
1月のミニコラム

法人設立

法人といってもいろいろあります。代表的な法人が株式会社で、次に有限会社でしょうか。この両者は最低資本金が定められており、株式が1千万円、有限が3百万円です。最低資本金の定めがない法人としては合名会社、合資会社があります。資本金自体が登記事項でないため資本金が1円でも設立できます。

最近出てきたのが海外(ハワイが多い)に法人を設立して国内で営業所設置の登記をするという方法です。業者に委託すると資本金を含めて30万円くらいで海外法人を設立できるみたいです。海外での営業を行わず、国内だけの営業でしたら内国法人と税務手続としてはほぼ同じ扱いとなります。安く法人を作る新手でしょうか。

ちなみに当事務所では合名合資会社であれば、1万円の資本金込みで15万円で設立できます。

2002.01.01 公認会計士・税理士 井上 修